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・・・誰のもとにもささやかな幸せの日々を・・・
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鏡石の鹿島神社参集殿で開催中の
『 野口和洋 木口(こぐち)木版画展 』 
本日最終日となりました。



「真っ赤に流れる ボクの血潮」 
     ・・・ぼくらはみんな生きている より



体の中を血が流れることも、
感情の波にこころ揺さぶられることも、
生きていればこそ・・・



かわぎしにとって・・・、
生と死への、しばらく蓋をして、
自分の内側に閉じ込めていた感情を、
いい意味、解き放つきっかけになりました。

感謝・・・。




              野口さんとのご縁・・・
              カテゴリーの
              「野口工作舎」をクリックしてみて下さい。


         
 

肖像の木口木版画のそばに、干支も並んでいます。


               
              
                  



野口和洋さん(野口工作舎)の初個展に伴い、
ここで、和洋さんの作品について、少しずつ紹介してきました。



野口和洋 木口木版作品 1995年


野口和洋 木口木版作品 1996年


野口和洋 木口木版作品 1998年~2002年


野口和洋 木口木版作品 2002年以降 ほか



今回も、2002年以降制作作品と、その作者による作品解説、
りんごの立体作品まで紹介します。





駒井哲郎の肖像 Portrait Tetsuro Komai

駒井は、現代版画のパイオニアであり、原点である。

50歳を過ぎた頃、駒井は、舌ガンに冒される。
長年の腐食液の有毒ガスによるものという話を聞いたことがある。
晩年の駒井の写真には、
手術の後を隠すように、スカーフが首に巻かれている。

駒井は、昭和8年、14歳のときに、
『エッチング』誌(日本エッチング研究所)により銅版画を知る。
そして、早くもその翌年には、
西田武雄の主催する日本エッチング研究所に通い始めている。

以来、銅版画に一生を捧げた人生であった。
まさに、選ばれし者であり、現代版画の歴史そのものである。





火だるま槐多の肖像 Portrait Kaita Murayama

ためらふな、恥じるな
まっすぐにゆけ、
汝のガランスにチューブをとって
汝のパレットに直角に突き出し
まっすぐにしぼれ
そのガランスをまっすぐに塗れ
生(き)のみに活々と塗れ

      村山槐多 一本のガランスより


ガランスは、槐多の色。
胸から吐かれた血のような赤だ。
画家であり、詩人であった天才は、火だるまとなって、
22年と5ヶ月を一気に突っ走り、逝った。

1915年に、木炭で描かれた「自画像」は、
私が最も好きな一枚であり、
鬼の線で描かれた『火だるま
槐多』そのもの。
19歳の若き天才から燃え上がる炎を
その自画像に重ね合わせ、一本々々刻みつけました。






渡辺光徳の肖像 Portrait Mitsunori  Watanabe

          



渡辺光徳の名を知る人は、そう多くはありません。
私自身も光徳を知らない一人でした。

渡辺光徳(1887~1945)は、須賀川出身の銅版画家で、
郷土の先達である亜欧堂田善を尊敬し、
自ら田善の後継者たらんとして、銅版画の技術を習得しました。

1930年、洋風版画協会の創立にも参加し、
翌年には日本版画協会の設立にも参加して、
日本の近代版画の創世に大きく関わっています。

私が光徳を知ったのは、ごく最近のことですが、
その作品は、田善への強いあこがれが昇華され、
光徳が生きていた頃ののどかな須賀川の田園風景が
ゆったりと、静かに刻まれていました。

晩年の光徳は、病のため思うように版画制作ができなくなり、
戦時中、須賀川に疎開しますが、終戦の直前、亡くなっています。
2006年の夏、須賀川博物館に展示されていた光徳の風貌に、
郷土須賀川と田善を愛した光徳のやさしいまなざしを感じました。




     


入り口に展示の『恋する林檎』の、静かであたたかな輝きに心ぬくもる・・・。



西洋では、林檎は
心臓・命を象徴するモチーフとされているとのこと。


和洋さんは、個展の打ち合わせのために、
林檎畑広がる景色に溶け込む参集殿に何度も足を運びました。

参集殿に通う季節の中で、
林檎の白い花咲く春、葉が輝く緑の夏、
赤い実がたわわに実る秋、
また新しい季節のためにじっと耐える冬、
そして、また新しい命の芽吹く春・・・、
そんな当たり前に日々くり返されていく命の営みが
とても力強く貴いものであることに深く感じたとのこと。

そんなことから、新作は、
木口木版画ではなく立体で作ることに、思いが至ったのだそうです。


そのほとんどが、生前評価されることなく、
不幸な人生の最後を遂げたかに見える人たちの肖像。

しかし、それは、物事の一面。
実は、本人にとっては、
その人生に悔いなしとまではいかなくとも
凝縮された、満足感があった、
ある意味幸せな人生だったのかもしれません。


そして、やさしくおだやかな金色の光放つまあるい林檎の立体作品。


生きることと死ぬことの
切っても切れないえにしを、
強くこころに刻む展示を、何度も堪能しました・・・。





本日最終日となりました。
ぜひぜひ、お立ち寄り下さい。




野口和洋 木口木版画展


平成19年4月22日(日)~4月30日(月)
午前10時~午後6時   会期中無休


会場:
鏡石 鹿島神社 参集殿
福島県岩瀬郡鏡石町鹿島379

TEL:0248-62-1670


*作品写真および作品に添えられていた解説文は、すべて、
作者野口和洋さんの許可のもと、このBLOGで紹介しております。

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アナログ・ローテク・規模最小の無店舗書店。数冊絵本を小脇に抱え細々行商しています。

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Pooh&Pea(ぷぅあんどぴぃ)は、愛娘ふたりの幼い頃のニックネーム。「こどもたちからもらった広がる世界」の思いを込めて店の名前に決めました。

ここでは、絵本屋としてのアプローチの他、柔道のことや、我が家のさもない日常を書きとめています。

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